アウトカムからみた事業パターンと成長戦略


そういった彼らの成果から見た事業パターンをいくつか見ていきたいと思います。

今言ったような銀座みつばちプロジェクトのように、その地域にある資源、それを生かす。例えば銀座だと歴史があります。なぜこの街が成り立ったのかということを銀座みつばちプロジェクトの人たちは言います。「なぜ私たちがこれをしているのか。今、銀座を見つめなおしている」と。「高級なブランドが立ち並ぶ街、それでもいい。しかし、私たちが忘れてはならない歴史がこの街にはある」と言っています。

そしてその地域の人たちがリソースとなって、このみつばちプロジェクトがどんどんと広がり、今は日本だけではなく、例えば韓国の大学生が大学で蜜蜂を飼いたい、ノウハウを教えてくれと銀座にやってきます。そのようなソーシャルキャピタル(社会関係資本)を醸成させて、コミュニティを再生していくというパターンが、ソーシャルビジネスの中にはあると思います。非常に多く見ることができると思います。

さらにこれは、市場を使ってソーシャルビジネスをスケールアップしていく方法です。おそらくAlexの専門のひとつであるフェアトレードの話は、典型的な例だと思います。

また、人材を育成していくパターン。さらには社会にその新しい価値を普及させていくことで、事業を拡大していくパターンがあると思います。

日本の企業、例えばかつて戦後、日本の衛生をより向上させるために自然派の石鹸を作った。そういった企業は普及活動を通じて大きくなってきたわけです。多くの、今、大手になった企業はそういったことをかつてやってきた。グンゼも地域における養蚕があまりにもクオリティが低い、この地域をなんとかしなくちゃということで、その郡のためにということで「グンゼ」という会社になり、今では世界的な会社になっているわけですね。

そういったソーシャルビジネスの、今必要としている社会の課題を解決するためにどう社会に伝えていくのか。そういったマーケティングを魅力的にやっていって事業を拡大させていくというパターンがあると思います。ここはまだ日本では手薄と言いましょうか、ソーシャルセクターではまだまだできていない部分ではないかと思います。

先日も電通や博報堂のような企業の方とお話をしていると、ここはそういった企業と一緒にやれることがあるんじゃないかとお話していました。Teach for AmericaはPaulの分野ですね。Housing WorksもPaulのほうが詳しいです。この絵ですけれども非常に面白いですね。

日本では、雇用を創出する、特に社会的に不利な障害を持った方やあるいはニートの方に対して雇用を創出するという手法を用いて事業を拡大している例もあります。私たちがよく知っているのはスワンベーカリーやココファームもそうですね。イタリア料理屋さんに行くと美味しいから置いていると、今ではブランドだと言っていて、障害者が作るからということではありません。

こういった成長戦略を見ていくと、ここはフェアトレード、Teach for Americaですが、ブランドを構築していく、そして国際的に展開をしていくということで大きくなっていくパターンがあります。

このあたりはのちほどディスカッションで話を進めていきたいと思います。「じゃあ大手の企業のようにブランド戦略をしていったらよいのか」というご質問が必ず出てくるわけです。ソーシャルセクターの良さを持ちながらブランド戦略・国際戦略というものをどうやっていったらよいのか。このあたりは午後のディスカッションに進めていきたいと思います。

非常に日本的に、私は共感しているのがこのエコシステム型の成長戦略です。先ほど申し上げたようにいろんなセクター、アライアンスを組むとか、政府と、それから地域のNGOと大手企業と国際機関とが一緒になって事業を展開していく。

ここはご説明する時間がありませんので、ここも後半のディスカッションで出てくればいいなと思っておりますが、BOP(Base of the pyramid)ビジネスの成功例としてよく取り上げられるシャクティモデルについて書いてあるものです。最初50人のシャクティレディで始めたのが「MART」という組織なんですが、今では何万人というシャクティレディが、ヤクルトレディをイメージしていただければわかると思いますが、地域のために、ビジネスとしても今、トントンになってきたユニリーバは言っています。

もうひとつ申し上げておきたいことは、大きく日本の中でも、そして世界の中でも、軸が変わってきているということかと思います。これはダノンのCEOが今年の日経新聞の年始にオピニオンを書いていたものですが、「企業が存続していくためには当然業績向上ですが、それ以上に、環境対策、貧困解消などの社会の問題に合致する強い使命をもっていることが必要だ」と。

このあたりも読んでいただければわかると思いますが、業績向上、成長ということを考えるとM&A、新しい商品開発ということに向かいがちですが、財務的な価値だけを前面に出すのではない、最初の方に課題としてどういう評価軸を私たちは持たねばならないんだろうか、社会的なインパクトをどういうふうに私たちは評価すべきなのだろうかということを申し上げましたが、大手グローバル企業においてもそのような考え方を持っているといえるかと思います。

これ(図:ソーシャルとビジネスの両立)は今私たちが企業と一緒にやっていることですが、社会のためにあるいは経済・ビジネスのためにというのでここに「or」とあります。左が単独、右が複数で行うということです。

今、技術で典型的なオープンイノベーションという言葉を聞いたことがあると思います。複数の企業がそれぞれの技術を出し合って、新しい商品開発をしていく方法ですね。それがイノベーションを起こしていくといわれています。それは、「multiple」、複数でビジネスのために。今、私たちが見ているのはここ(エコシステム型イノベーション)ではないでしょうか。複数で社会と経済・ビジネスのために社会を変えていくソーシャルビジネス。ソーシャルイノベーションを起こしていくということ。

これが先ほどエコシステム型の戦略ということを申し上げたところでもありますが、この軸を見ていただくと、ここを目指していくのがソーシャルビジネスではないかと。そのための戦略をどうしていけばいいのかということを、これから本日お話をしていきたいと思います。

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