導入


私の役割は「日本のことをちょっとおさらいしておきましょう」ということかと思います。

この図はイギリスの図ですね。Alex先生の分野ですが、「エデンプロジェクト」という社会的企業の中でも最も大きな社会的企業のひとつだと、私は理解しております。

もともとはこのように、何かわかりますか?鉱山の跡地です。それが今や非常に世界中からも人が集まる観光地に変わりました。教育チャリティーというふうに呼んでいるようですが、私もここに行って楽しませていただきました。

詳しくお話する時間はないのですが、「エデンプロジェクト」という、植物園といってしまえばあまりにも聞こえ方が違うと思います。非常に魅力的なところですね。いずれ見ていただきたいと思います。サイトとかに写真が載っています。

ここが1999年、そして今このような姿になっているところです。社会的企業の可能性をイギリスにおいて非常に私は高く評価しているので、のちほどのお話を楽しみにしているわけですが。

日本でも、じゃあどんなソーシャルビジネスがあるのか、そしてそういったところが先ほどお話にもありましたが、経営戦略、どの程度できているんだろうか。そういう戦略を持っているのだろうか。そのあたりを見ていくことができればと思っています。

まず、これは言うまでもないのですが、日本の社会の問題。多様化し、そして深刻化しています。ほんの一例です。これは厚労省の資料をとったものですが、過去20年間うなぎのぼりになっています。

何の数字かといいますと、児童相談所における児童虐待相談対応件数。もちろん、この件数が社会に出るようになったということはあるかと思いますが、それ以上にやはり深刻化している問題だと、そしてこんなになっているのだから政策の手を打っているでしょうと思いますよね。

しかしながら、うなぎのぼりの数字になってしまっている。このような過去何十年にもあたって見ていくと、どんどんと増えている、深刻化する問題が複数あるということです。それは政策だけではなく、当然ながらいろんな福祉の施設にもあるわけですけれども、じゃあどうしたらよいのだろう、というようにいろんな問題があるということですね。ほんの一部です。皆様のほうがお詳しいかもしれません。

そして本日は、ソーシャルビジネスとか社会的企業といった言葉が出てまいります。よくこの図がとりあげられていると思います。これはアメリカで分類分けされたものなのですけれども、私が見る限りよく引用されています。こちらにありますのが伝統的な慈善活動を中心としたNPO。そして「しゃらく」さんのように事業を展開するNPO法人。さらに社会的企業という言い回しがありますね。で、ソーシャルビジネスと。さらに営利企業の中でもCSRに熱心な企業、伝統的に利潤を最大化する企業というふうに分類分けする図がよく出てきます。

じゃあ、日本ではどのように使っているのかと。経済産業省がソーシャルビジネスの推進をしています。早い段階にソーシャルビジネスの55選というものを選び、冊子にしました。その時はこの辺りの団体(NPO事業型)が多く選ばれていました。昨年、経済産業省からソーシャルビジネスのケースブックという本が紹介されました。その中に「しゃらく」さんも入っているわけですけれども、そこに出てくるものはここくらいまで(NPO事業型から社会的責任企業)幅広くなりました。ですので、私たちがソーシャルビジネスと呼んだ時に法人格をとやかくいうものではありませんが、非常に幅広いものを意味するようになってきていると。それは一方で混乱にもなっているかもしれません。

ソーシャルビジネスは非常に多くあります。今ここに書きましたように法律では定めがありません。ですので、大学関係者がソーシャルビジネスとはどうだとか、あるいは経済産業省においてもソーシャルビジネスとはこうだというような表現である定義はあります。しかしながら、法律では定められてはいないわけですね。ですので、法人格も多様に出てきます。そしてここにテーマを書きました。

例えば、環境問題、福祉の分野、資金面のインターミディアリー(中間支援)、子供の育成、青少年・ニート問題、フェアトレードの分野。もっともっとありますよね。多様にあります。NPOの分野が17分野に分けられているように、私たちの生活に密着する全ての分野において、ソーシャルビジネスというものが関わってきているわけです。

ひとつひとつの団体を説明することはできませんが、株式会社においても、そしてNPOにおいても注目されているソーシャルビジネスが、ここ数年非常に増えてきたかなと思います。2006年にムハマド・ユヌスさんがノーベル平和賞を取ったことを契機として、メディアで非常に大きく取り上げられたということも、この日本においてソーシャルビジネスがより理解されるようになってきたきっかけではあると考えています。

この図を眺めていますと少し課題が出てくるかなと思います。それは、またのちほど少し事例を申し上げますが、例えばこの株式会社の分野を眺めていますと、実はこの状況になるまで非常に長い年数が経っているわけですね。

「社会の課題を解決する株式会社」今ではすぐに理解できますが、なかなか理解されない。もちろんそれを支援している金融の分野では、「あなたいいことやってますね。じゃあ融資しましょう」そんなことにはならないわけですね。「ちゃんと貸したお金を返せますか」そういう視点になるわけですね。そうすると、長い時間をかけてビジネスとして成功させ、社会の課題を解決していくというプロセスを経てきたわけですね。

そんなに長く、粘り強くやってこられるかどうか。できないところも多いかと思います。それをどうしたらよいのか、そのために支援策というもの、あるいは私たち市民がやるべきことがあるのではないでしょうか。そして、ソーシャルビジネス自体がどうすればよいのか、ということが今日これからお話される議題だと思っています。

さらにもう一点、今申し上げたようにそういったソーシャルビジネスの成功は何なのか、といった軸をどこにおくかですね。「儲かりましたね」それだけではありません。「社会の問題を解決していますね」と。しかし、貧困にしても福祉にしても環境にしても長い年月がかかるわけです。それに対して成果をどういうふうに見ていくのか、どういう軸で見ていくのか、どこまでを成果と見るのか。これに対する議論がまだ不足していると思います。

私たちは今、それを話し合ったらバラバラの意見が出るのではないかと思うわけです。それについても、もっと議論を深めなければならないのではないかと。おそらく海外ではどういうふうに測るべきか、というようなメジャメント(評価軸)の議論が盛んに行われていると聞いています。ということで少し事例を見ていきましょう。

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