人材について


服部篤子

よいご指摘をいただいたかと思います。

今のお話を聞いていますと、ソーシャルビジネスはビジネスモデルが複雑です。そしていろんなセクターとのハイブリッドな関係がありますね。周りの環境、利害関係者は、一般のビジネスよりも複雑かもしれません。

となると非常に難しくありませんか。大手の企業はよい人材をリクルートするために、そして自分たちの商品やサービスを知ってもらって購入してもらうために、広報や広告に非常にお金を掛けます。イメージをアップするために非常にお金を掛けます。顧客のためにどうすればよいのか日々議論し、新規事業開発をしています。

ソーシャルビジネスは複雑な利害関係者に対してアピールをし、かつ戦略をもってビジネスモデルを構築していくと。いろんなセクターと協力関係にある、これは難しいでしょう。そう思いませんか。

かつてピーター・ドラッカーが、非営利の世界のマネジメントが非常に難しくて、一般の企業も学ぶことができるよという論文を残したようにですね、ソーシャルビジネスは非常に戦略が必要なんじゃないのかなという話を聞いています。故に政府がサポートをし、企業の財団もしくは企業がサポートをするということは理にかなっているのではないかなというふうに思いました。

私がTeach For Americaの戦略担当にお会いした時、MBAクラスを出た方だったわけですね。そして、CafeDirectというフェアトレードの大きな組織を訪問したとき、戦略担当はビジネスセクターから来ていました。いろんな人材が来ることによって、そういった戦略を可能にしているんでしょうか。日本では、「よい人材を集めたい、でも給料が出ない」、そういう会話をしたことがあるのではないでしょうか。

どうして欧米のソーシャルビジネスは大きくなったのかという話をいくつか聞いたわけですが、そしていくつか要素があることも理解はしているわけですが、やはりスタッフィング、人材のリソースというものが非常に重要ではないのかと。戦略を構築するにしても、どこかでファンドを取ってくるにしても、人材が必要だと思うわけです。

ご賛同いただけるでしょうか。頷いていただいているようでありがとうございます。と思うのですが、どちらかこれに対する答えを持っていらっしゃる、あるいは私たちにアドバイスをいただけることはないでしょうか。

Paul N. Bloom

この問題ですが、アメリカにも実際あるんですよ。実際によい人材を集めるということが、社会的企業にとっては非常に大きな課題、難しいことなんです。複雑でもあります。

デューク大学でのことを少しお話しします。私はMBAの学生たちと、MBAの修士を取ろうとしている学生を担当していますが、さまざまなプログラムの中で社会起業家を学びたいという学生は多いのです。彼らはツール、フレームワーク、今日お話ししたようなことを学びたいのです。ソーシャルセクターで仕事をしたいと思っているということです。社会的な目的を持つ機関で仕事をして成功したいと思っているのです。しかし、90%がMBAプログラムの過程で心変わりします。

人材については50代以上の方にもより注目すべきだと思います。アメリカン・アカデミーのコミュニティカレッジなどのキャンパスが国内には多くあり、たくさんの方々が学んでいます。その中で50代以上の方を対象にして、仕事に役立つスキルを教えるというコースもあります。それは製造業やハイテクでもありますが、50代以上で長生きをされている方が、自分の仕事を変えて、社会的企業の分野に入りたいと考えているのです。

この仕事は私にとっても2つ目の職業なのです。社会起業家の仕事をする中で私の給料は実際に下がってしまったのです。しかし、この分野をやってみたかったのです。多くのよい人材が集まってきます。50歳であれば、まだまだ大丈夫です。

Alex Nicholls

私は非常に楽観主義です。社会のさまざまな課題は、そのうち解決するんじゃないかと思っています。

この分野においてはまだキャリアパスが確立していません。銀行やコンサルタントなどには昇進があり、さまざまな道のりがあり、上り詰めていくわけですが、ソーシャルビジネスに関してはそういったキャリアパスがまだないのです。このセクターが成長していくことで、キャリアパスが見えてくるに違いありません。より規模が拡大し、多くの組織が設立され、多くの資源が蓄積されるでしょう。

イギリスにおいてもいくつかのセクターが芽生えてきています。その他の職業に比べると給料が安いかもしれません。それでも若い人たちはこの仕事をしたいと思っているわけです。

それほど急激な成長はないかもしれませんが、いまの世界の不況がソーシャルセクターにも影響を与えていると私は楽観的に考えています。銀行は多くの人を雇用しているわけではありませんし、デューク大学の場合はわかりませんが、金融危機によって多くの優秀な若者たちが仕事を得られずにいる。特に、今までのように銀行やコンサルタントファームで仕事ができなくなっています。

「この危機のせいで」と思っている学生は多いと思いますが、ソーシャルセクターにとってはこの状況はプラスになるのではないでしょうか。

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