企業とソーシャルビジネスの連携


服部篤子

フランチャイズはもちろん国によって違うかもしれませんが、今お話のあったように地域、コミュニティと団体、企業といくつかの組み合わせによって新しいアイディア、モデル、あるいはサービスをフランチャイズしていくという展開がみられるわけです。

そこで、3番の質問です。通訳者に質問番号を伝えているので、気にしないでください。「企業とNPOとの連携の時にどのような課題がありますか」ということを聞いていただいています。

これは私たちもよく話し合うのですが、このようにソーシャルビジネスというのはいろんなセクターと一緒に仕事をしていくことになる。そうするとお互いのことをわかるためにはどうすればよいのと。違う言語を使っているようだねと。同じ日本語で話し合っているのにどうして通じ合えないの、というような不満をおっしゃったことがある方いらっしゃいませんか?

NPOの立場であれば企業の人たちがわかるロジックで、企業の人であればNPOにわかるロジックで話し合わないとうまくいかないということが、日本では多々起こっているのではないかと思います。

そういったことなど、連携の際に課題はありますか、ということなんですが。あるのかどうか、もしあればそれをどう克服しているのでしょうか。何か意見もしくは事例があれば教えていただきたいと思います。

Alex Nicholls

イギリスではそれほどたくさん事例がないので、ほかの国での例もいくつか示せればと思います。社会的企業と企業との連携は、企業同士のパートナーシップとそれほど違いません。

ただ、目標をぶれないようにする、お互いに補完的であるということが必要です。社会的企業は、目的が一致していれば大企業と連携を組めるかもしれない。でも目的が一致していなければ、つまり時間の経過とともに目的が変わってくれば問題になってきます。

有名な例を挙げます。バングラディシュで大きな通信会社にグラミンフォンがあります。グラミンフォンはジョイントベンチャーです。グラミン銀行という大きなマイクロファイナンスの組織、ムハマド・ユヌス氏の組織ですが、それと北欧のTelenor(テレノール)という会社です。

はじめはパートナーシップが上手くいっていました。テレノール社はスカンジナビアからほかの市場へ拡大したいと考えており、技術や経験も持っていました。しかし、新しい市場へのアクセスがありませんでした。

一方、グラミンはブランドがあります。つまり、市場へのアクセスは容易だったわけです。しかし、技術がなかった。グラミンは通信企業ではなく、マイクロファイナンスの企業だったからです。

2つの企業は、互いに補完的な目的があったのです。グラミンはモバイルバンキングを発展途上国へぜひとも持ち込みたかった。モバイルバンキングができるようになれば、経済活動が活発になるというエビデンスも既にあったからです。

私は実際にバングラディシュに行ったのですが、ダッカから200km離れたジャングルの
真っ只中でも、オックスフォードよりも通信状態がよいのです。

しかし、このジョイントベンチャーはうまくいかなくなった。大成功し、利益が出てきたとなれば、テレノールが大株主になり、利益も多く取ってしまいました。それで、グラミン、特にユヌス氏は怒ったわけです。つまり、テレノールが貧困層を食い物にしてお金儲けをしていると。

一応、パートナーシップはまだ続いていますが、関係自体はよいものではなく、ジョイントベンチャーの解消まで話がいっています。

別の例としては、子どもにとって、ヨーグルトがタンパク質やビタミンを多く含んでいて、非常に体に良いということで、ダノン、ヨーグルトの会社ですね、とグラミンはパートナーシップを非常に慎重に結ぼうとしました。こちらは上手くいきました。

この2つの事例を見ますと、まず、どういうことを目的にするのかというミッション、そして将来的にどうなるかということを、よく見極めていかなくてはならない。将来、こんな問題が起きそうだということを想定して始めると、成功に導きやすいのではないでしょうか。

Paul N. Bloom

私もAlexが言ったことが本当にその通りだと思います。

アライアンスを成功に導くためには、期待をうまく調整する、それによって失望を防ぐということです。どういう責任、役割を果たすのか、問題が起きたときや緊急事態にはどうするのかということをあらかじめ書面に明記して契約することが必要だと思います。法律やその実効性について日本のことはわかりませんが、弁護士はこの書類が重要だと指摘するでしょう。

もう一つお伝えしたいのは、今まで話題になっていませんが、社会的な大義のために大企業がソーシャルビジネスに乗り出すときには、新しい人材を雇用する必要があるということです。

会社のために働いている人にMBAのコースでこういう話をしました。会社のために働くのはよい。でも社会的課題を無視するような会社のために働くのではなく、何らかの活動で社会に貢献するようなことをしている会社で働いてほしいと伝えました。

というのも、会社はこのようなプログラムを運営することに興味を持っているのが普通なのです。そしてアライアンスを組むときには、社員が活発に参加することがNPO、企業の両方にとって重要です。

パートナーシップがCEO同士で組まれることはもちろん必要ですが、両組織が関わりや考えをより深めていくということ、いろいろなレベルの人が交流することが大事で、そうなればもっと持続的な成功を収められると思います。

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