NPO法人しゃらく

しゃらく旅倶楽部

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長崎へ行こう

兵庫県在住のOさん、90歳。

青春時代の半分を満州で過ごし、戦後は帰国して理髪店を営んでいました。

今でも時々はさみを持つこともあるぐらいお元気なのですが、最近は心不全や高血圧などで病院に行くことが頻繁になったせいか、「わしはもうあかんかも」などという弱気な言葉を口にするようになりました。

以前はよく一人で街中に映画を観に出かけたりしたのですが、今では誰かと一緒でないと行かなくなっていました。

そんな中、「長崎に単身赴任中の息子に会いに行きたい」と突然言い出したOさん。

希望をかなえてあげたいというご家族の配慮もあり、今回のツアーの話が持ち上がりました。

まずはOさんご本人や同居されている娘さんから、旅行の動機やどれだけ長崎に行きたいのかというお気持ち、行くのにどういう不安や問題があるのかといったことをお聞きしました。

そして予算なども踏まえて、可能な限りOさんのご要望に沿った形で準備し、今回のツアーが実現することになったのです。

出発当日、天気は良好!挨拶も済ませ、まずは最寄の駅から車椅子で電車に乗ります。

平日の午前中ということもあって、混雑もさほどありませんでした。三宮からリムジンバスに乗り換え、40分ほどで伊丹空港到着。

飛行機が大好きなOさんは、「乗るのは何年ぶりやろ?楽しみやな~」ととってもわくわくしている様子。

空港内では、Oさんが車椅子、しかもご高齢ということもあってか、航空会社さんからの気遣い、心配りは非常にきめ細やか。飛行機に乗る際も美人の乗務員さんが付き添ってくださり、最初は車椅子に乗りたくないなどとおっしゃっていたOさんも、「車椅子も悪くないのう~、まるで殿様になった気分じゃ」などとすっかり上機嫌に。

澄み切った青空に時折見える白い雲。天気もよかったせいか、Oさんが楽しみにしていた飛行機の窓からの景色も最高!「また飛行機に乗れるなんてなあ…」などと感慨深げのOさん。これだけ喜んでいただけると私もうれしいです。

念願の長崎に到着し、まずはバスで町の中心部にあるホテルへ。Oさんの「長崎の中心街を歩きたい」というご要望に応えるために、今回は町の中心にある便利なホテルを選びました。気に入ってくれるといいのですが…。

ホテルに到着。そして…ロビーで待っていたのは会いたかった息子さん!!久しぶりのご対面に、Oさんの表情も緩みます。「やっぱり来てよかった~。また一緒に酒が飲めるな~」。

スタンダードツインのシンプルなお部屋で予定通りしばし休憩。息子さんとのお話にも花が咲いています。ホントに二人ともしゃべるしゃべる。

しっかり休憩をとった後、まずは路面電車に乗って崇福寺へ。路面電車に乗ると、いやでも旅の気分は盛り上がってきます。「昔神戸にも路面電車走ってたんやで~」と懐かしい記憶にひたるOさん。

長崎を代表する観光スポット、崇福寺に到着。

崇福寺といえば、国内最古の中国様式寺院といわれるすごいお寺。全部で21もある文化財にOさんも感心しきりです。買い物ついでに売店のおばちゃんに話しかけると、なんとこの方は楊さんという華僑の方。息子さんも交え、中国の話で大盛り上がりでした。

崇福寺を出て、近くの料亭でお待ちかねの夕食。地元長崎の食材を使った料理がテーブルに並びます。ふぐと地酒、そして久しぶりに会った息子さん。おしゃべりも弾み、ついついすすむお酒…。Oさん、楽しいのはいいけど、飲みすぎて、体調こわさないでくださいね~。

最後はOさん、息子さん二人並んでラーメンに舌鼓。お互いの90年と60年の人生を振り返って、話も尽きないようです。Oさんも感慨深げに一言、「今日はありがとう。本当に楽しかった。生きててよかったわ。」Oさん、もったいないお言葉…。でも旅はまだ初日です…。

「おはよう。」有機野菜の和朝食を済ませた頃、息子さんが別の宿泊先からやってきました。

昨日のお酒がまだ残っている様子の息子さんとは対照的に、Oさんは元気いっぱい。やっぱり旅というのは年齢にかかわらず、人を元気にするんですね~。

平和公園に着くと、Oさんの口数が急に少なくなりました。やっぱり戦争を体験なさっているOさんにとっては、私には想像もできない様々な思いが込み上げているのでしょう。平和記念像の前で黙祷した後、原爆資料館も時間をかけて回りました。

その後、浦上天主堂にも立ち寄った後、お昼ごはん。Oさんの突然のリクエストでお寿司を食べに行きました。そこでもOさんと息子さんは熱燗をオーダー。昼も夜もお構いなしですね…。

ホテルに戻りしばし休憩。ここでOさんと息子さんはお別れです。「またな。」とOさんの一言。「元気でな。」と息子さん。こういうとき、言葉少なになるもんですね。男ってやつは。

お別れの後たっぷり休憩をとって、再び長崎の街へ。行く先はOさんがぜひ行きたいといっていた、『長崎ぶらぶら節』でも有名な思案橋です。この近辺は昔からいわゆる花街として栄えていたところなのですが、実は若い頃遊び人だったOさんは、昔から大の花街好き。そんなこともあって、思案橋に行くのはと~っても楽しみにしてたんです。

思案橋は以前ほどの賑わいはないものの、歩いていると昔の華やかさが伝わってくるような、とってもいい雰囲気の通りが並んでいました。Oさんはそれはもう興奮しっぱなしで、その様子は初めてディズニーランドを訪れた子供のよう。昔の面影を残す街並みを、必死にカメラに収めていました。

カステラで有名な「福沙屋本店」でおみやげのカステラを購入した後、料亭花月、長崎検番と歩きます。

長崎検番の前で足をとめ、Oさんのレクチャーに耳を傾けていると、検番の中からなんと、本物の芸妓さんが出てくるではありませんか!思わず呼び止めるOさん。

話を聞いて、またびっくり!。その芸妓さんはなんと18歳。「平成生まれの芸妓さん」として新聞やテレビなどの取材を何度も受けている有名な方だったのです。しかし…90歳で大正生まれのOさんと、18歳で平成生まれの芸妓さんの偶然の出会いって…奇縁と言わずしてなんと言えばよいのでしょう!?こんな出会いがあるから旅は面白いんですね~。

「いや~、よかったな~。本物の芸妓さんに会えるんだもの。」芸妓さんとお別れした後も、興奮冷めやらぬ様子。「奥さんに怒られますよ」と言うと、「かみさんには言うなよ」と釘をさすのも忘れないOさんなのでした。

眼鏡橋で写真撮影をしたところで、日がだいぶ落ちてきました。今日の夕食は、Oさんの大好物、牛ステーキ。90歳にもなっていまだに牛肉が大好物というのもすごいですが…。今回はステーキハウスで長崎牛にトライ!

おいしい地ビールと特上の長崎牛。そしてアワビ。Oさんも、このおいしさにすっかり感心させられたようで、「うまいな~」としきりにつぶやいていました。確かにこれだけうまいとやみつきになりそう。

食後は本日最後のイベント、稲佐山で夜景鑑賞。貸切タクシーの運転手さんに眺めのいいスポットを案内してもらいました。稲佐山の頂上にある展望台から見る景色は圧巻の一言で、さすがは「1000万ドルの夜景」とうならされました。

その後、ホテルに戻っておやすみなさい、と思いきや、どうしてもホテルのバーでカクテルを飲みたい、というOさん。ここまで来たら、どこまでもお付き合いしますよ。

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